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2016年12月17日 (土)

「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」に思う

 「働き方に関する政策決定プロセス」というのは,まず名前が何を言っているのかよくわかりませんし,テーマが専門性が高い玄人的なものということもあってか,この有識者会議への世間の関心はあまり高くないようですね。労働政策審議会や労政審という言葉を使っても,「それって何?」というのが一般の人の反応でしょう。
 今回第5回目の会議で報告書がまとまったのですが,ここに至るまではかなり迷走していたと思います。なかなか会議の予定日が決まらなかったり,第5回はなんと30分で終わったりです。迷走の原因の一つは,「働き方に関する政策決定プロセス」を検討するといいながら,その一方で,9月に首相直轄の「働き方改革実現会議」を作ってしまい,そういうのでやるのなら,この有識者会議で何を議論するのか,ということになってしまったことでしょう。「働き方改革実現会議」は一過性のもので,首相の政治的パフォーマンスにすぎないのに対して,労政審はもっと地に足の着いたものであり,だからこそしっかり議論をしなければならないということで,この会議に臨んだのですが,すっきりしりないところが残っているのは,いまも変わりありません。
 今回の報告書に対しては,会議の場でも肯定的な意見がほとんどでしたが,個人的には60点くらい(可で,ぎりぎり合格)だと思っています。文言のなかに含みが多すぎて,運用にゆだねられている部分が多く,現時点ではきちんと評価しきれないからです。私は会議の場でどういう政策プロセスにすべきかという方向性は語ってきたつもりなので,あとは具体的にどのように運用がなされていくかに注目していきたいと思います。まずは,新たに設置されるはずの「基本部会(仮称)」に誰が選任されるのか,また労政審の本審や分科会にもどういう人が選任されるのか,そして基本部会ではどのようなテーマをどのように議論して成果を出していくか,です。
 おそらく委員の人選はかなり難しいでしょう。たとえば今回の有識者会議にしても,なぜ私が選ばれているのか,自分でもよくわかっていません。いちおう,かつて神林龍さんと労働政策決定プロセスについての論文を書いているので,そのときの主張などをベースに議論に参加する責任があると考えてやってきたつもりですが,実際は,厚生労働省の役人は,私のこの論文を読んで私を選任したわけではありませんでした。
 今回の会議では,政策決定の場に出てくる者は,組織の単なる利害代表者であってはならないということを,しつこく強調してきたつもりです。それは現状に問題があると考えていたからです。ただそれ以上に,個人で発言をする人を入れることもリスキーです。このことを知ったのが,この1年いろいろな政府関係の仕事の委員として参加したことの最大の収穫でした。個人のパフォーマンスを重視して,やたらと世間受けをねらうような発言をする人は,組織の操り人形よりもっと問題があるという印象を受けました。組織人はつまらないけれど安定している。非組織人は当たればいいが,はずれも多い。
 もう一つ思うことがあります。この1年,厚生労働省,経済産業省,内閣府,総務省の会議に参加してきました。大臣や副大臣がどこかで参加するものがほとんどでしたが,厚生労働省が,いちばん大臣の存在感が大きかったと思います。ただそれは,あまりよいことのように思えません。大臣がくると,それを中心にスケジュールが組まれ,周りもそれに気を遣うなど,無駄が出てきます。いずれにせよ,大臣の発言時間が一番長いというのは,望ましくありません。大臣が専門家で,実質的な議論に参加するのならともかく,挨拶だけならば不要だと思います。忙しい大臣には,もっと他のことで頑張ってもらいたいです。私たちは大臣の話を聞くために来ているのではなく,プロとしての自分が発言するために時間を使って霞ヶ関に来ているのです(その意味で第4回のフリートーキングは,2時間のほとんどを使って委員が議論をすることができたので,これはとても良かったと思っています。もっとも,それがどこまで報告書に活かされたかは不明で,たんなるガス抜きになったにすぎないという見方もできますが……)。
 基本部会(仮称)やもちろん労政審も含め,それらがほんとうのプロによる政策論議をする場になってもらえることを,心より祈っています。そこでは,虚礼も政治的パフォーマンスも不要です。

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