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2016年12月15日 (木)

キーワードはAIとICとICT

 季刊労働法の最新号に,「労働法のニューフロンティア?-高度ICT社会における自営的就労と労働法」という拙稿が掲載されています。来年刊行される『AI時代の働き方と法』(弘文堂)のなかの1章の一部を,論文にしてまとめたものです。自営的就労を正面から労働法の議論に取り組むべきという主張は,いままで断片的にやってきてはいましたが,厚生労働省の懇談会「働き方の未来2035」への参加をきっかけとして,より積極的に主張する場が与えられて,振り返るとこの1年はこのことばかり言ってきたような気がします(ちょうど来週,経済産業省の会議でも,WEBを通してですがプレゼンをします)。自営的就労に対しては,ちょうどいまクラウドソーシングのライターたちの問題などがあり,逆風が吹きかけていますが,季労論文で論じたのは,自営的就労にも3つのタイプがあり,それぞれについてとるべき政策的な対応が異なるので,これらをごっちゃにしてはならないということです。そして将来はICTなどを活用した自営的就労者が増加することになると予想され,この働き方を健全なものとするために,政府がいかなる理念,手法で,介入していくべきかかを検討することが重要と主張し,そのための私論も一部展開しています。
 来年度は,AI,ICTと並んで,テレワーカー,個人事業主(IC:independent contractor)をめぐる政策が重要な課題となっていくでしょう。また欧州でみられる個人事業主に対する法制度のあり方なども比較法観点から研究していきたいと思っています。そこには豊かな研究領域が横たわっているように思えてなりません。そのようなことから論文のタイトルに「ニューフロンティア」という言葉を使ってみました。クエスチョンマークを付けているのは,それが「労働法の」といえるかが疑問であるからです。
 いずれにせよ,これからの若い研究者はこの新領域に積極的に取り組んでいってもらえればと思います。私は開拓していくことには関心がありますが,そこから堅牢な理論的構造物を作り上げていくことについては,自分ではあまりやる気もないし,それをするだけの力量はもはやありません。是非若い人たちにやってもらいたいと思っています。
 NIRA総研からは,先日の柳川先生と新井先生との共著による総論的なオピニオン・ペーパーに続いて,今度は各論でまずは私がトップバッターで「AI時代の雇用の流動化に備えよ」というオピニオン・ペーパーを発表しています。来年は,AIがらみでの私の主張が,アカデミックなものというより,国民に向けた政策綱領というような形で,みなさんの目に触れることが多くなるかもしれません。
 AIとICは必ずしも直結しているわけではありませんが,私の頭の中では,これまでの企業組織・正社員中心主義の崩壊という点で両者は深く結び付いています。この点の詳細な説明は,上記の弘文堂から刊行される本に委ねますが,来年も引き続き,これにICTを加えて,私の研究のキーワードになるでしょう。それと同時に,政府においても,AI・IC・ICTは政策のキーワードになるのではないかと思います。

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