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2016年11月 6日 (日)

荒木尚志『労働法(第3版)』

 たくさんのお礼のやり残しがあるのですが,何はさておき,荒木尚志『労働法(第3版)』(有斐閣)については,御礼申し上げたいと思います。いつもありがとうございます。
 荒木・労働法は,最初はあまり刺激がないと思っていたのですが(まことに失礼なコメントですが……),第3版あたりまでくると,この安定感がむしろ大きな強みになってきていると思い直しています。とにかく現状の労働法を正確にかつ網羅的に学びたい人は,この本を,まず読むべきでしょう。最新の動向もしっかりフォローされていることも,この本の強みです。
 菅野和夫『労働法』(弘文堂)が,当時の新時代の労働法の全容を体系的に提示するという衝撃的なデビューから,Sagrada Familiaのように,時間をかけて改築を重ね,力強さを増しながらも,最近ではいささかグロテスクな様相を呈し始めているのに対して,荒木・労働法は,精緻な体系と構成で完結されており,当初の繊細な美しさがまだ維持されているという感じです。法律の本に特有の読みにくさもなく,800頁を超えるボリュームがあるとはいえ,労働法について何か語ろうとする人は,やはりこの程度の量のものは読んでもらわなければ困ります。
 この本のなかに出てくる分類・ネーミング(荒木さんの得意技?)は,ちょっとどうかと思うところがありますし,個人的には説の違うところも少なからずありますが,それは私が異端であるからでしょう。読者は,本書から,(どこかの書評で書かれていました)「正統派」の労働法を存分に味わうことができると思います。

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