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2016年10月28日 (金)

労働法ゼミ

 久しぶりに労働法ゼミのことを書きましょう。今年は夏のイベントはあまりなく,9月初めにOB会を開いたぐらいです。OB会には,それほど多数の人が集まったわけではありませんでしたが,とても楽しかったです。外国に行かなければならない人,労働基準監督官になったけれど辞めようと思っている人など,みんなの近況を聞きながら,私も刺激をもらいました。
 さて後期のゼミは,例年どおり,最初の3回は夏休みの課題図書の報告会です。今回は,トーマス・H・ダベンポート『AI時代の勝者と敗者』(日経BP社),マーティン・フォード『テクノロジーが雇用の75%を奪う』(朝日新聞出版),濱口桂一郎『働く女子の運命』(文春新書),服部泰宏『採用学』 (新潮選書),楠木新『左遷論 - 組織の論理,個人の心理』 (中公新書),マーティン・フォード『ロボットの脅威-人の仕事がなくなる日』(日本経済新聞出版社)の6冊をとりあげました(毎年違う本を指定しています)。
 先々週は,『AI時代の勝者と敗者』と『テクノロジーが雇用の75%を奪う』でした。両者は,結論の方向性が違うので,議論するのに面白かったです。前者はAI時代の勝者になるための戦略,後者は雇用がなくなり9割が失業する時代を想定して,どのような社会構築が必要かを論じたものです。
 先週とりあげた二つの本はともに学生の評判がよかったです。とくに『採用学』は,これから就職活動をしようとする学生にとって,必読の本かもしれません。このゼミでも,就職活動についていろいろな検討をしてきましたが,これを学問的な知見で分析してくれているところが良かったです。採用は,法学においては企業の裁量の領域で十分に分析ができていないところですが,本書ではそこを経営学の観点からアカデミックに切り込んでいるところがとても興味深かったです。「採用学」というのが,これから一つの学問領域になっていくかもしれませんね。
 もう一つ,『働く女子の運命』はタイトルからすると女子のことばかりが論じられるような印象もありますが,むしろ女子という軸を通して,日本型雇用システムを論じたもので,学生には勉強になったと思います。濱口さんは,若者,女子と来たのですが,次は何でしょうね。  
 本日は,まず『左遷論』で,就職してからの厳しさを学んでもらいました。本書で紹介されていた,池上彰の成功例は,学生にも勉強になったのではないでしょうか。
 『テクノロジーが雇用の75%を奪う』と同一著者の『ロボットの脅威』は,内容は重なっていますが,AIのことを考えるうえで参考にしている本で,一連の人工知能・ロボット研究の総括となりました。もちろん本書の内容に全面的に賛成ではないのですが,重要な論点のほとんどにふれられていて,いろいろ考えさせられることが多いです。
 今年はついに普通の労働法の本を指定することがなくなりましたが,それはゼミの目的がいつからか実務志向に変わっていたからでしょうね。

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