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2016年10月11日 (火)

故郷で働こう

 10日の日経新聞の「地域総合」で紹介されていた内閣府の「プロフェッショナル人材事業」に,たいへん興味をもちました。不勉強にも,こうした事業のことを知らなかったので,これから少し情報を集めたいと思っています。
 私たちはよく(大)都市と地方という分類をしますが,こういう分類は徐々に意味がなくなっていくと思っています。東京が立身出世をはたすところというのは,もはや過去の話です。
 たしかに東京のメリットは人脈や情報が豊富なところにあります。私の業界でも,東京に行けば良い情報があり,研究に役立つという人はたくさんいます。たしかに霞ヶ関には多くの情報があるのですが,情報過多となっている可能性もあります。情報は分析できなければ意味がありません。たとえ情報を迅速に収集できなくても,いつかは地方にも届きます。しかもネット社会ですので,delayはなくなりつつあります。むしろ地方にいくと,選別されてほんとうに必要な情報が入ってくるということもあるような気がします。
 業界によって違うのかもしれませんが,アナログ思考で対面の重要性を強調しているようではいけません。アナログの良さは否定はしませんが,それにこだわってデジタルの活用をおろそかにしてはいけません。地方こそデジタルを活用すべきなのです。
 先日,徳島で社労士会の中部・四国地区のフォーラムがあり,私は基調講演とパネルディスカッションへの参加のために呼んでいただきました。テーマはテレワークです。県知事の挨拶があって,最初はこういう挨拶というのは形式的だけでつまらないことが多いのではないかと思っていたのですが,それがまったく違っていて,実にすばらしい挨拶でした。知事は,徳島をICTの先進地域にし,真の地方の創世をめざす意気込みを語ってくれました。こういう首長がいる県は実に頼もしいです。
 徳島の神山地区は,人口が少ない田舎の町ですが,そこに大容量の光ファイバーを引き込んで,テレワークのやりやすい環境が実現しています。消費者庁の徳島移転の試行は成功したかどうかは微妙ですが,技術的には,徳島にサテライトオフィスを設けて仕事をするということは簡単であり,パネルでは,そういうことに成功している企業の関係者や県の担当者が来られて話をしてくださいました。テレワークの可能性を体感することができ,個人的にもたいへん影響を受けて帰ってきました。
 故郷で仕事をしたい,都会の喧噪を離れて自然に囲まれたオフィスで働きたい,といったことを希望する人は想像以上に多いのではないかと思います。徳島にいても,世界をまたにかけて仕事はできるのです。いまや日本の隅から隅まで物流は可能です。注文はネットでOK。地方の良さを最大限にいかせる環境を作ったのがICTです。  今後ICTはもっと発達します。WiFi環境は日本のいたるところで向上し,携帯の通信も5G 時代に突入しようとしています。この環境をいかさない手はないでしょう。東京や大阪といった大都市がどうしても好きという人はもちろん都会でがんばっていただいて結構ですが,私はこれからは地方の時代だと思っています。地方においても,創意工夫で成長の可能性は大きく広がっています。山口の獺祭の大成功は,そのわかりやすい例でしょう。
 新しい発想は,これまでの枠組みや分類を壊すなかから生まれてきます。分類というのは,私たちの思考を効率化し,認識や分析の力を高めますが,同じ分類のなかにずっといれば,新たなものが生まれにくくなります。分類を変えるというのが重要なのです。人間が分類を指示して対象データを与えると,人工知能はものの見事にやってのけます。しかし,どういう分類をするかの主導権は人間にあります。分類を変えるということは,とても知的な事柄なのです。
 都市と地方という分類をやめてみましょう。多様な都市が全国中に分立し,人々ができるだけ故郷でやりたい仕事をできるようにすること,これが真の地方創世です。政府も,企業も,そして国民も,そうした意識改革をしてみたらどうでしょうか。

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