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2016年9月22日 (木)

「Remember Hiroshima」ではなく・・・

 聞いた話ですが,アメリカ人の夫と結婚した日本人女性が,むこうの姑に,「Remember Pearl Harbor」と言われたそうです。同種のことはアメリカに行った日本人はよく経験するようです。しかし,真珠湾攻撃で日本軍が攻撃したのは軍事基地であり,アメリカが無辜の国民が住む本土に対して原爆を二発も投下した罪のほうが比較にならないくらい重いのは言うまでもありません。
 それについては,日本が卑劣な戦争を仕掛けたからだという反論があるかもしれませんが,ここはしっかり説明しなければなりません。
 アメリカ(F.ルーズベルト)はイギリス(チャーチル)との間で,真珠湾攻撃(1941年12月8日)の4ヶ月前の1941年8月に大西洋憲章を結び,戦後処理についての定めをしていました。ルーズベルトは,遅くともこの段階で,日本と戦争することをすでに想定していたのです。しかしアメリカ側からの開戦は,アメリカ国民が望んでいなかったので,日本から攻めたという形を作らなければなりませんでした。それで日本がアメリカと開戦するように追い込んでいったのです(それはアメリカの参戦を望むチャーチルの意向が強く働いていました)。1941年7月の段階で,アメリカは日本に対する石油全面禁輸を行っており,これは日本を干上がらせようとする戦争に準じるような行為でした(これはイギリス,中国,オランダと合わせたABCD包囲網と呼ばれるものですが,実際にそうした密約が4カ国内にあったかどうかは不明です)。
 私たちは,自分たちに着せられた汚名(卑怯な行為をした日本人)を晴らす必要があります。そのためには,まず歴史をしっかり学び,なぜ日本が真珠湾攻撃をしなければならなかったのか,もっというとアジアの国々に,当時なぜイギリスやオランダの軍隊がいて,日本とぶつかったのか(日本の大東亜共栄圏のことも学ばなければなりません),白人はアジア人に何をしてきたのか,ということなどから学ばなければなりません。
 世界史をしっかり学び,とくに白人と日本との接触が強まってくる黒船の到来あたりから後の時代については,日本とアジアと欧米の絡み合いをしっかり学んで,自分なりの歴史観を築いていく必要があります。
 私たちは,ほんの2代から3代前の世代の日本人が,なぜあのような戦争を行ったのか,それにはかなりの理由があったのではないか,という問題意識をもつことが必要です。イギリスは戦後の自虐的な歴史教育でイギリスに誇りを持てない国民が増えたということで,サッチャー政権時代に教育方法を改めたということがありましたが,日本もアメリカに洗脳された戦争観や中国や韓国を意識した自虐的史観は捨てて(とくに日本を美化する必要はありませんが),合理的になぜ戦争を行ったのかを考え,「Remember Pearl Harber」に,「Remember Hiroshima」というような感情的な反論をするのではなく,アメリカが対日本との関係で,黒船来訪以降,開戦に至るまでにどういうことをしてきたかを冷静に列挙して説明し,あなたがもし日本の立場ならどう思いますかという反論ができるような日本人が育ってほしいと思います。そのうえで民間人をかくも無慈悲に虐殺したという人類史至上最大の罪を犯したことについて,どう考えますか,ということをアメリカ人に問いかけてほしいのです。オバマ大統領は,いろいろ批判もされていますが,広島に来たのは,彼に人間としての普通の心があったからだと思っています。私は彼にアメリカの良心をみた気がします。日本では,最近でもオバマが中国に弱腰であることを批判する論調が強いですが,彼の目には,領土のぶんどりあいを武力をもってやるということに辟易しており,残りのわずかな任期に,そういうことにかかわるのを愚かしいと思っているのではないでしょうか。オバマは,アメリカの大統領としては,皮肉にも高邁すぎる理想をもっていた人だったのかもしれません。

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