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2016年7月26日 (火)

正社員の作り方

 昨日の日経新聞で,IT技術者を中心に,派遣各社で無期雇用が広がるという記事が出ていました。どうして無期雇用にするかというと,長期派遣を希望する派遣先のニーズに応えて,人材を囲い込むためのようです。

 ここでは二つのことを考えさせられます。

 第1は,無期雇用とは,企業が囲い込みたいと思われる人材であれば,自然と起こるのではないか,ということです。労働契約法18条による強制的な無期転換規定に疑問を感じるのは,そういう自然な経済の論理に反することを強要しているからです。そもそも正社員というのは,企業が長期雇用をして抱え込むことが望ましい人材であるとみたからそう扱われているもので,それをあたかも法的に特別な地位とみて,非正社員との格差を強制的に是正するという発想は,政策として間違っているのです。格差の是正は,企業が長期雇用をするに適していると考える人材を増やすことが,最も適切な対策です。上記の記事は,この考え方と整合的です。

 第2は,上記記事での無期雇用派遣は,派遣先で長期的に働くことを前提としているという点も注目されます。労働者派遣法25条は,「厚生労働大臣は,労働者派遣事業に係るこの法律の規定の運用に当たつては,労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行並びに派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮する」と定められています。長期派遣は,「労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮」には資するのでしょうが,「その雇用の安定に資すると認められる雇用慣行並びに派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方」は常用代替防止という発想によるものとみられ,これは派遣先での長期派遣とは合わないと思います。

 派遣は臨時的でなければならないという原則は,2015年改正で再び強調されることになったのですが,派遣元に無期で雇用され,かつ同じ派遣先で長期に派遣されることが望ましいのなら,派遣は臨時的,という原則は撤廃したほうがよいことになります。派遣元に無期で雇用され,特定の派遣先で長期に働くことは,常用代替は起こるとしても,派遣労働者の雇用が安定しているからよい,と言うべきなのでしょう。ある意味,これだって一つの正社員と呼んでもいいのです。

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