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2021年4月 6日 (火)

川口美貴『労働法(第5版)』

 大学の事務から,小包サイズの書籍が届いたという連絡があり,どんな巨大な本なのかと思って,本日大学に行ったら,川口さんの『労働法』(信山社)の第5版でした。前に第4版をいただいたばかりだったので,想定していませんでした。重厚長大化する労働法の教科書の配送はたいへんなコストがかかっているのではないかと心配です。
 それはさておき,ほんとうに,いつもお気遣いいただき,有り難うございます。まずは旧労働契約法20条に関する最高裁判決が追加されたということなので,お説拝聴しました。もともと私とは考え方がまったく相容れない論点なのですが,あまりにも立場が違いすぎるので,コメントが難しいです。
 第5版が出て困ったのは,私は『人事労働法』において,川口さんのこのご本を,数少ない略語使用する頻出文献に入れ,第4版の頁で引用していたので,いきなり拙著の情報が古くなってしまったことです。引用していた部分が改説されていないかのチェックもしなければなりませんが,その点は,拙著が増刷されることがあれば(たぶんないですが),そのときにさせてもらえればと思います。
 ところで拙著では,文献の引用はかなり絞ったため,なんで私のものがあがっていないのか,というお叱りを受けるかもしれません。とくに教科書・体系書は,比較的新しいもので単著に限定したため,菅野和夫『労働法(第12版)』,荒木尚志『労働法(第4版)』,土田道夫『労働契約法(第2版)』,西谷敏『労働法(第3版)』,水町勇一郎『詳解労働法』と,それと川口『労働法』だけに絞りました。もっと思い切って絞るならば,菅野『労働法』と西谷『労働法』だけでよいのですが,これではちょっと狭すぎるだろうということで,手堅い通説として荒木『労働法』,新たな通説的立場を狙いつつあり,かつ何でも書いてある水町『詳解労働法』,個性ある体系書の香りが強い土田『労働契約法』,独自の世界で突っ走っている川口『労働法』をそろえれば,現在の労働法学説の全体を知るのに必要な最小限のものはそろっていると判断を下しました。もちろん,このほかにも参照すべき水準の高い体系書としては,野川忍『労働法』(日本評論社)がありますし,個別法では,下井隆史『労働基準法(第5版)』(有斐閣),(個別法と違い古いものでも色あせない)集団法では,山口浩一郎『労働組合法(第2版)』がありますが,これらは紙数の都合もあり個別の参照にとどめています(ただし,山口『労働組合法』は,拙著では特別な位置づけであり,それは「はしがき」を読んでいただければわかると思います)。またとくに引用はしていませんが,参照した重要文献として,山川隆一『雇用関係法(第4版)』があります。労働法の教科書であれば,石井照久『労働法』,石川『労働組合法』,片岡『労働法』,久保=浜田『労働法』,中窪=野田『労働法の世界』,安枝=西村『労働法』,渡辺章『労働法講義』あたりは,最低限掲げておくべきなのでしょうし(ただし,石川『労働組合法』は参考文献で言及しています),その他にも挙げるべき教科書や体系書はあるでしょうが,拙著の性質上(その意味は,拙著を読んでご判断ください),あえて挙げなかったことをお許しいただければと思います。

 

 

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