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2021年3月27日 (土)

テレワークシンポジウム

 本日の神戸労働法研究会は,神戸大学社会システムイノベーションセンターとの共催で,「テレワークにおける労働者のプライバシー問題を考える」というシンポジウムを実施しました(社会システムイノベーションセンター・シンポジウム「テレワークにおける労働者のプライバシー問題を考える」 | 神戸大学社会システムイノベーションセンター (kobe-u.ac.jp))。外部の先生方を招いて議論ができてよかったです。テレワークを推進するために必要な労働法上の問題を精密に議論ができたことが大きな成果で,たいへん勉強になりました(その成果は季刊労働法で掲載される予定です)。報告者の方,コメンテータの方,議論に参加してくださった方,その他,聴衆のみなさんすべてに御礼を申し上げます。
 今回のシンポジウムをとおして,個人的には,労働法上の議論が,テレワークという働き方になかなかフィットしていなくて,テレワークを推進するためには,もっと新しい法的な受け皿や斬新な発想が必要ではないかということも明らかになったような気がします。私自身は,「会社員が消える」という観点から,これからの働き方はフリーワーカー(非労働者)のテレワークが中心になると予想しているので,労働法上の問題の多くは関係がなくなると考えています。ただ現実には,まだ会社員がいるわけで,そのなかで,コロナ禍によりテレワークをせざるを得ない状態にある労使が,労働法上の課題にどう向きあうかが実務的には大きな問題となっています。
 テレワークとプライバシーという問題は,ICTの発達のなかで出てくるプライバシーや個人情報の保護という一般的な問題の一適用例でありますし,シンポジウムでも各報告者により繰り返し論じられたのが,監視をとおしたプライバシー侵害の問題でした。さらに,テレワーク自体が,雇用型の場合には,私生活と仕事を混在させてプライバシー侵害を本来的に内包しているという見方も可能であり,そのような観点からみると,テレワークはやらないほうがよいが,例外的に,障害者や育児や介護の負担を抱える人などテレワークが役立つ人もいて,そうした人には推奨していくべきというような視点も議論のなかで出てきました。いずれにせよ,テレワークとプライバシーは,もっと深く突き詰めていくべき余地がたくさんあるテーマであることがわかりました。今回のシンポジウムをきっかけに,共同研究をいっそう進めていきたいと思っています。
 一方で,私がもうすぐ刊行するテレワーク本は,今日のオーソドックスな労働法の議論からみて,かなり異端であることがわかったのも,大きな収穫(?)でした。私の議論は,現在の問題よりも,もう少し先の問題を扱ったものだからでしょう。DXのインパクトを視野に入れながら行うテレワーク論においては,あまり労働法の話が出てこないことになります。それについては31日のシンポジウムでも,報告者としてお話しする予定です。関心のある方はどうぞご参加ください(登録は明日まで)。社会システムイノベーションセンター・シンポジウム「テレワーク時代の働きがいを皆に-新しい働き方・暮らし方-」 | 神戸大学社会システムイノベーションセンター (kobe-u.ac.jp)

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