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2021年3月29日 (月)

オンデマンド

 次年度の学部の労働法の講義はオンデマンドでやることになっています。文部科学省は対面型を推奨しているようですが,困ったことです。今回は私は大人数講義で感染リスクが高いからという理由でオンデマンドになりましたが,少人数であっても,教室で行うよりもオンラインのほうが丁寧に学生に対応できるという観点からは,やはりオンライン(リアルタイム型)でやったほうがよいと思っています。少人数だから感染リスクが低いので対面型にせよ,というのは間違っている気がします(少人数でもマスクをつけながら距離を置いて授業をするよりは,マスクなしで,ネット越しでやるほうが,教育効果は高いと思われます)。大学の現場では,授業の内容にもよるでしょうが,オンラインでもやれるとの判断が広がりつつあるのではないでしょうか。
 とはいえ,オンライン講義でも,リアルタイム型ではなく,オンデマンド型となると,学生の授業の聞き方がかなり違ってくるでしょう。学生は好きなときに授業を聞くことができ,疲れたら休んだり,あるいはわかりにくいところは何度も聞き直したり,というような自由な受講方法が可能となります。一方で,決まった時間割があるから,その時間に授業を聞くのであって,自分で好きなときに聞けばよいということになれば,授業を聞かなくなるという学生もいるかもしれません。こういう学生を意識が低いといって切り捨ててよいかというと,これまでの大学人の常識では切り捨ててはなりませんでした。
 しかし,これからの大学教育は,意識が低い学生に付き合っているような余裕がなくなるかもしれません。大きな社会変革や価値転換が起きているなか,知的創造性のある人材を生み出していくことが,社会的な要請です。大学もそうした要請に応えるべく,いかにして有為な人材を生み出すかが真剣に問われ始めています。意識が低い学生にあわせて授業をしているような余裕はないのです。大学は本来そういうものであったのですが,近年では,そういう有為な人材の育成は大学院からという感じになっていました。しかし個人的には,学部では遅く,もっと早い段階から,意識の高い学生のニーズに応える教育をしていく必要があると考えています。
 オンデマンド授業は,教師にもプレッシャーがかかります。動画記録がしっかり残るなかで,ネットを通してどれだけクオリティの高い授業をするかが問われることになるからです。これまでの対面型の講義とは根本的にやり方を変えなければなりません。
 私は今回,オンデマンド講義の教材を,これまではゼミの教材として使っていた『雇用社会の25の疑問―労働法再入門―(第3版)』(弘文堂)を使う予定です。オンデマンドでは,それぞれの回で,トピックごとに完結するタイプのもののほうが学生にとっつきやすいのではないかと考えるからです。内容はやや高度ですが,参考文献などを適切に使いながら,労働法の面白さと難しさを伝えてみたいと思っています。もちろん,労働法が今後なぜ必要でなくなるかということも,しっかり教えるつもりです。
 これからの時代は,なんとなくテレビをつけて,いろいろな情報を受け身で入手する,毎朝配達されてくる新聞をながめる,大学に行って教室でやっている授業に顔を出す,というような感じではなくなるでしょう。情報は自分主体で取りに行くものであり,そうした情報が,自分の好きなときにネットで入手できるようになるというのが現代のオンデマンド・スタイルです。大学も,こうした社会の大きな変化に対応していかなければならないでしょう。

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