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2021年2月13日 (土)

起死回生のシナリオはあるか

 昨日の続きですが,80代であっても,適任者であれば選んでよいという考え方はもちろんあります。それは正論なのですが,なぜ年齢制限が必要かというと,何が適任かを明確には示せないので,結局,年齢が高い人や実績のある人のほうが信頼できるというような基準がまかり通ってしまうからです。
 本来,オリンピック組織委員会のような長丁場の委員会については,病気などのリスクを考えると,かりに年長者が長についても,何かのときに代わりを勤めることができるような副会長を用意しておくべきなのです。BidenKamala Harrisのようにです。今回の森氏は不祥事での辞任ですが,年齢を考えると,それ以外の理由での辞任もありえたはずです。それについて,どう準備していたのでしょうかね。辞任すれば,副のポストにいる人が代行するとか,昇格するということになっていなかったのでしょうかね。
 昨日は,老害のことを指摘しましたが,私だってすでに50代後半であり,もし生き続けるとすると,老後資金は大幅に不足するので,どうしても最低80歳くらいまでは働かなければならない状況にあります。だから個人的には,森さんくらいの年齢まで現役で働ければという気持ちはありますが,やはり周りに迷惑をかけないように,一定の年齢(70歳?75歳?)を超えれば社会的に重要なポストには就いてはならないと心に誓っています(もっとも,それは自信過剰で,そもそもそういう声はかからないでしょうが)。老人が勘違いしないためにも,公的な仕事には定年や年齢制限を設けておいてほしいものです。私の場合は,大学を定年になった後は,フリーランスとして,何とか死ぬまでやれれば,というところでしょうかね。ちょうど高年齢者雇用安定法が改正されて,65歳を超えて70歳までの高年齢者就業確保措置を講じる義務(努力義務)に,創業支援等措置が追加され,労働契約以外の業務委託契約での就業継続も選択肢に含まれています。大学がこの努力義務を果たして70歳まで業務委託契約で使ってくれたら嬉しいですが,どうなるでしょうか。
 ところで,森氏の後任に決まりそうだった川淵氏は,選任過程の透明性に問題があると批判されて,結局,自ら降りてしまいました(あるいは降ろされた?)。でも透明性って何なのでしょうか。川淵氏は,森氏から頼まれて互いに涙を流しながら話をして後任を引き受けたというプロセスを「透明化」していました。これがダメだということですが,新たな選任プロセスが透明かというと,選任のための委員会の議論を生中継でもするというのであればさておき,そんなことにはならないでしょうから,いったい何を透明というのでしょうかね。透明性は,もともとどのように選任するかのルールが事前に決まっていて,それに基づき選任するということなのかもしれませんが,今回は,あわててルールをつくって,それに基づいてやったから透明ということのようであり,それではあまり説得力がありません。ルールの事前設定は最低限の条件で,さらにそのルールの内容と具体的な運用が説得力のあるものでなければなりません。適当なルールをあわててつくって,それに依拠したから透明であり,だから問題がないということは世界に通用しないと思います。
 組織委員会の会長は,そもそも森氏が選ばれた経緯だって透明ではないわけです。実は,世界の目は,良い人さえ選ばれれば,透明性など問題としないと思います。組織委員会の会長というような仕事は,そういうものです。皇族になってもらうことだってOKでしょう。辞めさせられる人間が後任を決めて院政をしくというようなことはやるべきではないというのは当たり前のことで,それは透明性とかいうのとは違う次元の問題だと思います。
 いずれにせよ,オリンピック・パラリンピックは撤退戦略をとれというのが私の立場ですので,これを良い機会に戦略を練り直してほしいです。それに普通の人なら,こんな会長ポストに就きたがらないでしょう。オリンピック・パラリンピックに起死回生のシナリオはあるでしょうか。世界が注目しています。

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