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2021年1月11日 (月)

「コロナが怖い」で引退を,どう考えるべきか

 大相撲の序二段の力士である琴貫鉄が,コロナ感染をおそれて休場を申し出たけれど認められなかったので引退したという記事が,産経新聞に出ていました(「コロナ怖い」と引退 序二段力士、休場不可で - 産経ニュース (sankei.com) )。力士と日本相撲協会との間の契約関係が雇用なのか,準委任のようなものなのかは,よくわからないところがあります(裁判例も分かれている)が,今回の件は,会社員でいえば,コロナ感染の危険があるのに業務命令を出し,それを拒否したために,辞職せざるをえなくなったというようなものかもしれません。事実関係の詳細はよくわかりませんし,力士の特殊性があるのかもしれませんが,そもそも緊急事態宣言が出ている東京で,この時期に大相撲をやるのか,ということには,大いに疑問があります。感染対策をしっかりとっているといっても,すでに多くの休場力士が出ているのです。これからも増える可能性があります。きちんとPCR検査を行い,陽性が出れば休場させているから感染対策をとっているということかもしれませんが,大相撲が本気での勝負をする場であるのなら,少しでも感染の危険を感じながら相撲をとらせるということは適切でないと考えるべきでしょう。もし相撲協会が,本場所を強行するのが組織の決定なのだから,PCRで陽性がでないかぎり,出場せよというようなことを言っているのであれば,コロナへの意識が甘いという批判を免れないでしょう。大相撲はテレワークではできないので強行したくなる協会の気持ちもわからないではないですが,琴貫鉄が両国まで行って相撲をとるのが怖いと考えるのもまた,生存本能からして自然なことだと思います。とくに力士は若くても太っているので,潜在的な病気を抱えているなど,比較的重症化の危険性が高いカテゴリーの人たちだと思います(コロナで死亡した力士もいました)。せめて休場は認めるべきではなかったのでしょうか(こんなことをしていると,力士たちが労働組合をつくろうと言い出すかもしれません。そうなると力士は労働組合法上の労働者かというような法的論点が出てきて,労働法関係者の仕事が増えそうです。ただ,大相撲において,そういう紛争が起こるのは,あまり良いことには思えません)。
 一般の会社員でも,コロナ禍でテレワークを認めない企業に,テレワークをさせてくれと申し込むことができるのかというような問題はあります。難問ですが,「Webあかし」で,若干の考察をしています(第9回 テレワーク権? | テレワークがもたらすもの ─呪縛からの解放─ | webあかし (akashi.co.jp))。
 いずれにせよ,政府は,大相撲という国技だからこそ,コロナ禍に対して,どのような行動をとるべきかの模範を示すよう,相撲協会を指導してもらいたいですね。

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