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2021年1月24日 (日)

脱ハンコ問題

 山梨県の長崎幸太郎知事が,河野太郎大臣の進める「脱ハンコ」に反発しているという記事を見ました。自民党の「はんこ議連」とも連携しているようです。デジタル化には反対しないが,あまりにも急速なハンコ廃止の動きについては,印章業界を守るという観点から反発しているようです。
 気持ちはわからないのではないのですが,世間ではあまり支持されないのではないでしょうか。コロナ禍において,特定の業界が政治家を動かして,利益を守ろうとする動きは,「Go To」でも明確でした。コロナで困っている産業や個人はたくさんいるのに,政治家に有力なコネクションがあれば,助けてもらえるというように見えてしまうのです。菅首相の会食問題で,彼が多くの人と会食をして意見を聴いているということがわかりました。首相と直接会える人というのは,どういう人なのでしょうか。普通の人は首相には会えないでしょう。特別な人たちの意見が過剰に政策に反映してしまっているのではないかという疑念をもたれても文句がいえないでしょう。国民の意見を聴くというのは民主的なようですが,実はきわめて不公平なことになっていないでしょうか。国民は政治が不公平であることを嫌います。広島での河合夫婦の公職選挙法違反は,民主主義の根幹を揺るがす行為で許しがたいのですが,それと同じくらい,刑事罰に該当するかどうかに関係なく,「桜をみる会」は,前首相が税金を自分の支持者の饗応のためだけに使っている点で不公平なものであると思えるのです。国会議員は,全国民の代表なのであり,自分に票を入れてくる人だけのために行動されては困ります。大臣となればなおさらで,首相となればいっそうです。コロナで地元に帰れないという政治家もいますが,リモートワークでやるべきですし,いまこそ移動をしないことで浮いた時間を使って,国全体のことを考えてもらいたいものです。
 ハンコの話に戻ると,国民のなかには,意味のない押印が求められて困ったという恨みが蓄積されていたと思います。買いたくもないハンコを買って,紙に押さなければならないという無駄や非効率に支えられてきた業界であったのではないでしょうか(私も実印も含めてハンコは10個近くありますが,実際に使っているのは一つです。ハンコはなかなか捨てられないですよね)。印鑑の文化的な価値は認めます。だから,この業界には残って欲しいです。ただ,国民のなかにあるハンコへの違和感は,どうしても拭いされるものではなく,そのようななかで,自民党の「はんこ議連」のようなものを使って,業界を守るように働きかけるというのは,印章がとても悪いです。いっそう国民から支持されなくなるように思えます(「印章」業界が「印象」を気にしないのでは困ります)。そもそも「はんこ議連」の前会長は,ITから最も遠いような存在なのに,IT大臣をやっていたような人でした。デジタル化をつぶすために大臣をさせていたのではないかと疑われても仕方がない人事(安倍政権時代のもの)でした。これもハンコ業界に対する大きなダメージだったと思います。そういうなかで,また「はんこ議連」が出てきました。
 ハンコがデジタル化の妨げとなってきたのは事実です。脱ハンコは,デジタル化を進めるための第一歩です。河野大臣がこれにまず手を付けたのは当然のことです。デジタル化は,いろんな業界の新陳代謝をもたらします。政治をつかって脱ハンコに反対するようなことはやめるべきです。そういうのは民主主義や公平な政治に反すると思います。
 ちなみに子ども達はハンコが大好きです。若者はLINEスタンプをよく使っています。それに高額な文化的価値のある印鑑は今後も残るでしょう。工夫次第では大成長産業です。アイデアと創造性で未来を切り拓いていくというのは,DX時代においてどの産業にもあてはまることです。ハンコ業界は,自力で新たな発展の可能性をみつけていけるはずです。

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