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2021年1月27日 (水)

給与がスマホに

 外出しないから現金を使うこともなくなってきて,財布から全然現金が減らないという生活になってきました。現金は減らないのですが,お金を使っていないわけではありません。スマホがあれば,私の生活の範囲では現金はほぼ不要です。近所のパン屋さんは,まだ現金ですが,ほとんどのところは○○Pay で支払えます。ネットの買い物はクレジットカードですが,番号を入力するだけなので,カード自体は使いません。○○Payは,還元でたまった額がまだ残っていますし,足らなくなったら,クレジットカード払いにするか,銀行口座からチャージするわけですが,もし○○Payに直接給与が支払われるようになれば,こうした手間は不要となります。消費者的には,銀行口座から現金を引き落として消費にあてるのは,いろいろ面倒です。ATMに行って引き出したり,お金を触りながら他人とやりとりするという非衛生なことをしなければならなかったり,落としたり,盗まれたりする危険があるなどです。給与さえ○○Payに入ってくれば,こうしたことから解放されます。銀行にお金を預けていても利息はゼロのようなものなので,良いことはありません。銀行口座は,○○Payに資金を移動するまでの仲介的なものにすぎず,本来なくてもよいのです。公共料金や家賃や税金などの銀行の口座振替が○○Payでできるようになれば,銀行口座は不要となるでしょう。いまは○○Payを使っていますが,より有利なものがあれば,乗り換える気は満々です。クレジットカード(カードと呼んでいますが,実際にはカードは使っていません)についても,ポイントの付け方やポイントで使える商品をみます。航空会社系のクレジットカードを長年使ってきてマイルをためていましたが,飛行機に乗る可能性がほぼなくなってきたので,ショッピングマイルに変えたうえで,そろそろ解約しようかなと思っています。
 マイルにしろ,ポイントにしろ,銀行口座とは違う口座で商品の購入をしているわけです。こういう時代において,給与の通貨払いの原則にこだわるのは,もう無理でしょう。労働者の同意は必須ですが,労働者がきちんと企業から説明を受けて納得して同意をしていれば,日本の通貨にこだわる必要はなく,仮想通貨,電子マネー,外国通貨など,本人の望む方法で支払っても適法とすべきではないでしょうかね。仮想通貨が盗まれたことや電子マネーの不正使用が問題となったりしていますが,だからといって本人が望んでいる給与の払い方ができないというのはやりすぎです。現金だって盗まれることがあります。いずれにせよ,通貨払いの原則は,労働基準法(24条)のような刑罰法規によって規制する必要はないのです。現物給付の禁止は労働法の古典的な規制内容なのですが,実は現物給付の禁止と通貨払いの原則はイコールではありません。会社の商品で給与を支払うというのは問題であることは誰でもわかりますが,だからといってデジタルマネーで支払ってはならないとは言えないでしょう。
 ところで,今朝の日本経済新聞で,「政府は今春から企業が給与を銀行口座を介さずに支払えるようにする。従業員のスマートフォンの決済アプリなどに振り込む方式を認める」と書いていました。政府内でこういう議論があるのは知っていましたが,もう決まったのかと思って驚いて,労政審の労働条件分科会のHPをみたのですが,実は会議は明日なのですね。役人はすでに委員からOKを得ているから記者にリークしたということでしょうか。資料をみたら反対論もあり,21世紀型社会の労働政策を論じる適格性に疑念が生じさせる感じでしたが,そういう委員も最終的にはOKしたのでしょうね。
 でも,それだったら,わざわざ委員は集まる必要はないですね。会議室の名称が出ていたから,リモート会議でもないみたいです。さすがに出席強制はせず,委員のリモート参加は認めているのでしょうが。コロナ禍のなか,委員のみなさま,ご苦労様です。

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