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2020年9月13日 (日)

嘘を愛する女

 自宅にいる時間が長くなると,ちょっと気分転換という口実を自分に与えて,Amazonのプライムビデオをみることが増えました。いろんな映画をランダムにみていますが,何日か前に,長澤まさみ主演の「嘘を愛する女」をみました。どこかでみたことがある気もするけれど,どうしてもストーリーが思い出せないので,予告編でもみたのかなと思いながら,最後までみました。以下,ネタバレあり。
 由加利は,小出桔平と5年前から付き合っていて,そろそろ結婚をと思い,彼を紹介するため彼女の両親を呼んで食事をすることにしましたが,約束の場に桔平は現れませんでした。実は桔平はくも膜下出血でたおれて病院にかつぎこまれていたのです。一命はとりとめたものの,意識がもどらない状態にいました。しかし,そこで衝撃の事実がわかりました。病院で働く医師であると言っていた彼がもっていた職員証は偽物で,名前も偽名。彼は身元不明人だったのです。彼の所持品のなかにコインロッカーの鍵があったことから,そのロッカーをみつけだし,そこから出てきたのがパソコンでした。彼はパソコンをつかって小説を書いていました。若い夫婦と男の子が出てくる家庭小説です。しかし,場の設定は瀬戸内海でした。その描写の細かさから,彼の出身地が舞台で,彼がその家族について書いたものではないかと推測されました。由加利は私立探偵の海原と,彼が誰なのかを探る旅に出ます。そこでわかったのは,彼は働き盛りの医師で,妻子がいたこと,そして妻が育児ノイローゼになり子を殺してしまい,妻も自殺をしていたことでした。彼は自分を責め,自分の過去を捨てるため東京に出てきたのです。由加利は,彼がかつて住んでいた家を見つけ出しました。そこにはまだ幼い子のいる家庭の雰囲気が残っていました。ところが,海原はあることに気づきます。部屋に残されていた家族写真に写っていたのは女の子でした。小説に出てくるのは男の子だったのです。
 由加利は,桔平に,男の子が欲しいな,と語ったことがありました。小説のなかには,そのほかにも,由加利と桔平の間で交わされていた会話がしっかり書かれていました。由加利も海原も,桔平がずっと自分の過去の家庭を振り返って小説を書いていたと思っていたのですが,実は,桔平は由加利との幸福な生活を想像しながら小説を書いていたのです。由加利は,桔平の愛を疑った自分を責め,彼の快復を祈ります。
 恋愛小説というのは,会いたいのに,なかなか会えないという「すれ違い」ものが多いですが,この場合,会えているけれど会話ができないという設定になっていて,これは上手だなと思いました。
 という映画だったのですが,実は小説で先に読んでいたことが,昨日わかりました。部屋の本棚を整理していると,この小説がひょっこり出てきたからです。こうやってブログにでも書いていれば記憶に残っていたのでしょうが。肝心なところはすっかり忘れていたので,映画ではしっかり感動させてもらいました(上記のあらすじは,小説をベースにしていますが,映画の部分も取り込んだものです。小説では,会話ができない桔平の気持ちが書かれていて,いっそう切なくなります)。

 

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