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2020年9月15日 (火)

人命を軽視するな

 少し前の日経新聞で,30歳未満の若手男性官僚の7人に1人が,数年内に辞職する意向であることが,内閣人事局が実施した意識調査で分かったという記事が出ていて驚きました。そのとき,2つの正反対の印象をもったのですが, 1つは意外に少ないなという驚きです。たしかに,せっかく難しい試験を突破して入省したのだから,そう簡単に辞めてしまったら,もったいないです。しかし,安倍政権のもとでの官僚に対するぞんざいな扱い(側近の官僚だけは重用する)や以下の赤木さんの事件への対応などを見ていると,これでは仕事へのモチベーションが上がらないのではないか,と思っていたので,そのような観点からは7人に1人は少ないなと思ったのです。ただ,これだけの割合で若手が辞めていくのは,やはりちょっと多いなという意味の驚きもあり,それだけ霞ヶ関で働くことにはブラックな要素があるんだろうなと思ってしまいました。
 そこでどうしても気になるのが,財務省の近畿財務局における公文書改ざん問題で職員が1人自殺をしていることです。長時間労働によって精神的な疲労によりうつ病を発症して自殺をするというケースは,労働判例でもよく出てきます。ただ普通は長時間労働だけで,なかなかうつ病にはならず,自殺の事案ではパワハラ等の職場環境からくるすさまじいストレスが原因となっていることが多いのです。赤木さんのケースでも,公務員にとって組織は重要とはいえ,公務員の命ともいえる「文書」の改竄を組織によって強要されるのは,自分のこれまでの生き方が否定されたようなもので,そのストレスたるや想像を絶するものだったのでしょう。問題は,その後の政府の対応です。多くの人が批判しているので,私はとくに繰り返しませんが,少なくとも麻生財務大臣は最高責任者として辞任すべきだったと思います。電通の高橋さんの自殺事件でも,社長は辞任していました。それが普通の感覚です。麻生さんに個人的には何も思うところがありませんが,きちんとけじめをつけていないことには不満があります。噂では新政権でも重要閣僚ポストに就くということですが,それはとても許容される話ではないと思います。組織の犠牲となって1人の命が失われていることについて,まともな感覚をもっていない人が政治をやるようでは困るのです(もちろん事の発端となったのは安倍首相ともいえるので,知らんぷりは人間として許されないでしょう)。
 これは公務員の事案ですが,ある意味で労働法の問題でもあります。上司から違法なことをするように命令を受けたとき,労働者はどうすればいいのか。拒否すればいいと言うのは簡単なことですが,真面目な人ほどそういうことができないのです。公益通報者保護法はこういう場合に助けとなるために作られた法律ともいえるのです(公務員は適用除外。同法7条)が,現実には在職中に内部告発をすることは簡単なことではありません。ましてや国家公務員の場合には難しい面があるのでしょう。真面目で正義感のある労働者が組織の犠牲となって命が失われたことについて,他人事ではないという気持ちをもっていなければならないでしょう。遺族の方が民事訴訟を起こしているようですが,新首相はこの問題の政治責任から逃げずに,まずは遺族に向き合って真相を究明するところから取り組んでもらいたいです。人命を軽視する人に,首相を任せられません。

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