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2020年9月23日 (水)

GAFAと法律家

  私は独占禁止法のことは素人ですが,今朝の日本経済新聞で紹介されていたLina Khanの名前は聞いたことがありました(https://r.nikkei.com/article/DGXMZO63847570V10C20A9TL3000?disablepcview=&s=5)。法律家で,しかも若くて,ここまで話題になる学者というのは珍しいのではないでしょうか。記事によると,「現在の反トラスト法の運用では,短期的な消費者の不利益,つまり価格のつり上げがなければ違反とみなされにくい。しかしカーンは,それでは現代のオンライン経済での市場支配力を捉えることができないと言う。物流網の独占や膨大なデータにより競合相手を押しつぶすアマゾンの手法は小規模ビジネスや起業家,社会全体に損害を与え,たとえ低価格を実現していても規制すべきだとの主張だ」と紹介されています。
 彼女の主張が,どこまで競争法の主流の議論に影響を及ぼすのかは,よくわかりません。ただ,社会において何らかの均衡が崩れた状況があるとき,そこに反応することこそ法律家の本来の仕事であるということを考えると,GAFAという独占的な影響力をもつ支配的存在に対して,何らかの態度決定をすることは,法律家である以上,当然に求められることと思われます。私自身は,GAFAを,企業の公共性という観点から考えられないかと思っています。例えば企業も社会の一員である以上,他の社会の構成員に影響を与える行動は,社会的責任(CSR)という観点からの評価にさらされるわけです。そのようにみたとき,アマゾンのビジネスモデルはどう評価できるのか,ということが問題です。それは競争法の問題なのか,会社法の問題なのか,それとも企業倫理の問題なのかなどはさておき,そういう分類を乗り越えたinterdisciplinaryなアプローチが必要といえるかもしれません。
 ところで労働法はこの問題にどう関係しているのでしょうか。企業の手足になって現実に動いているのは労働者です。企業に何か問題があるとき,労働者もそれに加担しているのです。労働者は単なる第三者ではありません。CSRを実現するのは,企業の一員である労働者の責任でもあるし,他方,労働者がCSRを実現しようとするときに,企業がそれを阻止することは制止しなければなりません。後者のための仕組みの一つが,公益通報者保護法です。 

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