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2020年7月 1日 (水)

変革の真っ只中

 最近はネットでのアウトプットは,明石書店のWEBマガジンに,ほぼ週1ペースで原稿を書いているので,ブログを書くだけのエネルギーが残っていなかったのですが,久しぶりに書いてみたいと思います。というか,書きたいネタはいっぱいあるし,本のお礼も山ほどたまっているのですが,それは追々やるということで,今日は近況報告のようなものを中心に書きます。
 引きこもり生活も,だいぶん長くなりました。この2月以降外出はめっきり減り,3月以降ですと,ほんの数えるかぎりとなりました。大学の授業はオンラインですし,依頼が来た講演もオンライン以外のものはお断りしています。緊急事態宣言は国が勝手に解除していますが,ワクチンがない以上,感染したら治療方法がないので危険極まりないのです。私は,どうしても出なければならない用事以外は外出していません。オンラインでできる会議なのに,オンラインでやらないような会議は,私にとっては,それが不要不急かどうかという基準でみるのではなく,そもそもやり方が間違っている会議だと思っています。
 学校も企業も,オンライン対応にしておかなければ,9月にも来るかもしれない第2波のときに大きな影響が出るでしょう。オンラインはいろいろやっかいだから,オンラインでやらずにすむなら,できるだけリアルでやろう,また何かあれば,そのとき考えればよいし,できればそのときが来なければいい,という心理状態の人が,組織の上にいたら大変なことになります。オンラインとリアルの両方ねらいは非効率です。オンラインでやらざるを得ないと腹をくくるべきです。リアルでやっていても,すぐにオンラインに戻らなければなりません。それならオンラインを続けてノウハウを蓄積したほうがよいのです。
 ちなみに,会議はリアルで開催されて,一部の人がオンラインで参加するという併用型は非効率です。私もリアルでやっている会議に一人だけオンラインでの参加ということを,霞ヶ関の会議などで何度か経験していますが,これはやりにくいです。全員オンラインにすると会議のクオリティが格段に上がります。これは私だけの意見ではありません。
 私はムーブレス(移動なし)で行くと宣言していますので,コロナ禍が終わっても,外部の仕事は出張となるものはお断りするつもりです(すでに,コロナ前から原則としてお断りしています)。それのみならず,大学の仕事も,できればオンラインにしてもらいたいと思っています。近所に住んでいるので,どうしてもとあれば出勤はするつもりですが,私は少なくとも少人数の講義はオンラインのほうが効率的だと確信しているので,オンラインでの実施をお願いしていきたいです。ただ,より重要なのは,大学ではなく,小学校です。この子達が大人になったときは完全なデジタル社会です。コロナのせいでオンラインでいろんなことをせざるを得なくなったのは,ちょうど未来のことを早く経験できる絶好の機会でした。これをちょっと安全になったかようにみえるため(ほんとうに安全になったとはいえないでしょうが),リアルの体制に戻すのはもったいないです。子供達の人生は長いのです。目先の教育の遅れなど何ともありません。というか,いま学んでいることが,どこまで子供達の将来に役立つかということからして,あやしいです。いずれにせよ,教える内容もさることながら,まずオンラインでの教育を進めていく体験をさせるほうが,子供達のこれからの長い人生にとって遙かに役立ちます。
 環境問題でも同じですが,大人達がやるべきことは,いかにして社会をきちんと次の世代に継承していくかです。環境を大事にして地球の持続可能性に配慮することもそうだし,教育もほんとうに次世代にとって役立つものを伝えなければなりません。何かあればすぐに,これまでのやり方に戻そうとするのは間違っています。コロナは,来るべき次の時代の社会の到来が早まったにすぎないのです。視線を未来に向けましょう。

 などと書いていたら,先日も,あるところに出す提出書類に印鑑が必要という案件が二つもありました。メールやWEBで完結できないのです。私は自宅にプリンタがないので,どしようもありません。コンビニに行くしかありません。まったく意味のない印鑑。それがなければ,求めていることをしてもらえない。ある意味で,恐ろしい社会です。でも現場の人はその恐ろしさに気づかず,印鑑を押してくださいと無邪気に言って,彼ら・彼女らのルーティンワークをこなしているのです。彼ら・彼女らに罪はないのですが,でもそういう無自覚な行動の積み重ねが,社会の変化を阻止している理由なのでしょう。

 神戸労働法研究会は,参加者の希望しだいですが,個人的にはずっとオンラインでやって,年に1回くらいオフ会的に集まるということでよいと思っています。来年秋の日本労働法学会への参加を誘われていますが,出張しなければならない場所でしたら,オンラインでしか参加しないということをお願いしています。海外出張も,よほどのことがないかぎり,やることはないでしょう(私的な旅行はするでしょうが)。

 コロナ後の世界はムーブレスです。でもオンラインでかえって人とのつながりが強まっている気もします。ときたまリアルで会う人の温かみも強く感じられます。最近は,他人との接触は,リアル以外にも,メールのやりとりだけ(出版社関係),電話だけ(一部の新聞の取材),Zoomなどによるもの(取材,講義,研究会など)といくつかの段階があり,そのどれを使っても,それなりにつながっていると思っています。私はいまのところはSNSはLINEしかやっていませんが,暇になればツイッターやインスタもやるかもしれません。いずれにせよ,これだけ多様なネットを介したコミュニケーション手段があるのに,仕事にだけリアルにこだわるのは,おかしいでしょう。何よりも感染症をなめたらいけません。

 ところで,テレワークのことをディープに考えようということで,明石書店のWEB会議で連載をしています。また,産経新聞の「ニュースを疑え」というコーナーでのインタビュー記事が今日ウェブで掲載されました。テレワークについての取材というのが最初の依頼でしたが,もっと大きく,これからの社会のことも熱く語っています(自宅で,眼鏡姿でインタビューに応じている画像が公開されていて恥ずかしいですが,昔ならこだわりがありましたが,いまは自然体でこれもいいかなと思っています)。そして,日本法令からは,そうした大きな社会の変革と労働のことについてまとめた一般書が,今月中にも刊行されます。サバティカル中にいろいろ考えて,私自身の考え方を根本から再構成しようと格闘した成果が少しでも出ていたら嬉しいです。そして,おそらく年内には,労働法学者としての私の集大成といえる作業を完結させようと思っています。労働法の理論体系を,全く新しい感覚で刷新する「人事労働法」という分野を確立すべく,まさにいま作業を進めています。個人的には,もともと2020年は変革の年の予定でした。予想もしていなかったコロナのせいで,世の中のとてつもない大きな変革の波に埋もれてしまいそうですが,なんとか自分なりにやるべきこと,やりたいことをコツコツとこなしていくつもりです。

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