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2020年4月 3日 (金)

オンライン診療解禁はデジタルファーストで

 今朝の日本経済新聞をみると,受診歴のない患者の初診からオンライン診療を解禁することに,厚生労働省や医師会が難色を示しているという記事が出ていました。「対面に比べ診察時に得られる情報が限られる」ということが,その理由でした。これは以前からも出されていた理由づけです。私は医師ではないので,これがどれほどの解禁の障害事由となるのかよくわかりません。でも「情報」の問題であるとすれば,もっと工夫する余地があるのではという気もします。生体データや顔の表情の画像分析をAIで行うという話もあります。技術的に可能なことはどんどん増えています。普通は現状を変える立場のほうが,エビデンスを用意して,変えるべきであるという提案の根拠を説明しなければならないのでしょうが,私はデジタル技術を使えるものについてはデジタル技術を使うのを原則とするという「デジタルファースト」を提唱しています。いわば「立証責任」を転換せよということです。デジタル技術を使って不都合があるなら,それを主張するほうがエビデンスを用意しろということです。社会がスタティック(static)なときであれば,もちろん改革を求めるほうが「立証責任」を負うべきでしょうし,私たちは何十年もそういう安定した社会で過ごしてきました。しかし社会が何十年あるいは百年に一度というくらいに大きく動いているときは,こうした「立証責任」のルールも変えなければなりません。すでに第4次産業革命,Society5.0,DX(デジタル・トランスフォーメーション)といったことが進んでおり,社会が急速にダイナミック(dynamic)に動いている時代に突入しています。つまり,これまでとは違った発想が求められているのです。ましてや現在は新型コロナのせいで異常時となっています。こんなときでも,いつもと同じようにやらなければならないなんて寝ぼけたことを言っている人たちが,社会の上層部にいるというのは恐ろしいことです。
 大学でも,かなり前からオンライン授業はどうかということを同僚と話していました。7~8割は反対でした。教育効果が上がらないのでは,ということです。でもそれは,これまでと同じような授業方法であれば効果が上がらないだけで,授業方法を変えれば飛躍的に効果が上がる可能性があります。今回,大学は迅速に対応して,オンライン化を決断しました。素晴らしいことです。教育効果を上げるために,どのようにすればよいか,私自身まだわかっていませんが,懸命に考えていきたいと思っています。長年やってきた方法を変えるのは大変です。でも,シラバスづくりのようなあまり意味のないことに振り回されるのは困ったことでしたが,オンライン化は教育の本質にかかわることであり,これは教師である以上,真剣にとりくまなければならないことです。少し大変だなという意識はありますが,頑張りたいと思います。しかも大学では執行部の方々が,新たなやり方の環境整備のために尽力してくださっていて,ほんとうに頭が下がります。
 医療は,大学教育以上に国民にとって重要なことです。これまでと同じ診療のやり方であればオンラインはダメだとしても,むしろオンラインでやるためには,どういう診療方法があるのか,どうしたら患者の情報をもっと収集できるのか,そこにデジタル技術を使える余地はないか,ということを検討し,それでもやっぱり限界があるという結果が出たときにはじめて,オンライン診療の初診はダメという結論に説得力が出てくるのだと思います(私は別に対面診療がいっさいダメと言っているわけではありません。ただ医師も患者も望んでいるのにオンラインはダメというのは行き過ぎだという主張です)。
 現在は「コロナ期」です。オンライン化への移行期間だと考えてもらいたいです。そして,これが「コロナ後」の本格的なオンライン時代,デジタル時代への橋渡しになるのだと思います。
 どうも見ていると,いまはいろんなところで,おじさんたちが妙に頑張っている組織が,改革にブレーキをかけているような気がします。デジタル時代についていけないなら,指導層から身をひいて,リーダーシップのある若い層(ほんとうは年齢には関係なく,改革マインドが高いことが重要です)に組織をゆだねるべきでしょう。政治も行政も医師会もそうです。身近なところでは,自治体もそうだと思います(私ももし指導層にいればそうすべきでしょうが,幸いそういう立場にないので,その必要がありません)

 

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