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2019年9月10日 (火)

若き日のマルクス

  不思議なことに(?),近年,マルクス(Karl Marx)のことを口にすることが増えてきました。世の中では,マルクスからまだ学ぶことがあるのではないか,という議論も有力です。『共産党宣言(Manifest der Kommunistischen Partei)』は読み物としても面白いですし,難解な『資本論(Das Kapital)』はよくわからない部分が多いものの,いまでも参照しなければならないことが少なくありません。
 ところで『資本論』の第1巻第3編第8章「労働日(Der Artbeitstag)」のなかに,労働者階級の資本家階級への憎悪をかきたてる有名な言葉があります。ルイ15世の愛妾(妾といっても公けの存在)で,贅沢三昧の生活を送り権力を握っていたとされるブルジョワ階級出身のポンパドール夫人(Madame de Pompadour)のAprès moi le déluge(洪水よ。私の亡き後に来たれ)を引用したあとの,「Das Kapital ist daher rücksichtslos gegen Gesundheit und Lebensdauer des Arbeiters, wo es nicht durch die Gesellschaft zur Rücksicht gezwungen wird.」(それゆえ,資本は,社会によって強制されない場合,労働者の健康や寿命を顧みたりしない)というフレーズです。労働運動家の好きなフレーズですが,西谷敏先生も,ご著書の『労働法の基本構造』(2016年,法律文化社)9頁で引用されています。
 私は,ここにみられる資本家「性悪論」的な立場からの労働法には根本的な疑問を感じており,ここはきちんと理論的に明確にしなければならないという意識をずっともっています。このことが,私の頭からマルクスがなかなか離れない原因の一つです(もちろん,唯物史観は,資本主義までの分析は実に興味深いものであることは事実です)。
 そういうことがきっかけだったわけでもないのですが,ビデオで2017年の映画「Le jeune Karl Marx」(なぜか邦題は,「マルクス・エンゲルス」)を観ました。ジャーナリストであったころの若き日のマルクスが,エンゲルス(Friedrich Engels)と出会い,『共産党宣言』を書くまでのことが描かれています。どこまで忠実に歴史を反映したものかわかりませんが,当時の時代の雰囲気を味わうことができたのが良かったです。佐々木隆二『カール・マルクス:『資本主義』と闘った社会思想家』(ちくま新書)を読んだあとにみると,より理解が深まると思います。

 

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