« 最低賃金の引上げについて考える | トップページ | ポピュリズムと労働政策 »

2019年6月 1日 (土)

エルネオス

 「エルネオス」という雑誌の2019年6月号のなかで,ジャーナリストの元木昌彦さんが,本の著者にインタビューをする「メディアを考える旅」に登場しました。第257回目という歴史のある企画に,拙著『会社員が消える-働き方の未来図』をとりあげていただきました。元木さんは,私よりもかなり上の世代で,そういう世代の方からの率直な疑問や比較的リベラルな視点からの質問をしていただき,個人的には逆に自分の考え方を説明する機会が十分に得られてよかったと思っています。それにしても,いつも思うのですが,世の中には多くの雑誌があるものですね。この雑誌のことも知りませんでした。今回の話が来たときに過去の号をいくつか送っていただき読んでみたのですが,なかなか個性的で読みごたえのある雑誌でした。私の周りにこの雑誌を読んでいる人はいないと思うので,読者の顔が想像できないなか,それゆえ逆にかなりリラックスして自由に話してしまいました。前のInnovators Talkとほぼ同じ時期に受けたインタビューなので,内容的には重複していますが,やはりインタビュアの世代や性別がまったく違うので,答える私の話の与える印象も少し異なっているかもしれません。
 元木さんは,いきなり拙著が「テレワークについての本」である,と指摘しています。これには最初少し違和感がありましたが,よく考えると,私はフリーの個人が,好きな時間や場所で働く時代がくるということを強調しているので,そうなるとこれは「テレワークについての本」だということなのでしょう。AIやロボットに仕事が奪われるとか,雇われて働く会社員が減るということだけではなく,個人がデジタル技術を使って働くようになるところに変化の本質があるという点に正面から反応されたのが,「テレワークについての本」であるという言葉なのではないかと思いました。インタビューのなかでは,そのほかにも,教育の話,労働なき時代の話などもして,最後は農業の将来性を語って終わりました。
 このなかで最初に,テレワークがらみで,私の話が出てきます。大学教授の本業を授業だとすると,そこは残念ながらオンライン化がされていないので,テレワークも実現できていませんが,これもできるだけ早急にオンライン化すべきでしょう(院生の指導はメールやSkypeで可能ですし,会議もその大半はメール会議で済むレベルのものです)。一方,研究という業務(意識としては,こちらが本業)や研究成果の社会還元につながる学外での業務は,まさにICTを使う可能性を試すことができるものです。文科系の場合,実験施設などは不要で,必要な文献がデジタル化されていれば,自宅で作業は可能です。また,テレワーク化により,私たちの時間を奪ってきた学外業務での移動時間のロスをなくし,エネルギーの消耗を減らすことができれば,どれだけ仕事の効率が上がり,余暇や休息の時間を増やすことができるでしょうか。仕事はデジタル技術を使って効率を上げ,仕事以外はアナログ的に楽しむという生き方がよいのでは,と思っています。そういえば,神戸労働法研究会は,オンライン化をしていません。研究会だけならZoomを使ってもよく,そうすると参加者も増えるかもしれませんが,そうしないのは,研究会のメインの目的は,その後の飲み会にあり,効率化が不要だからでしょう。ひょっとしたら日本企業でテレワークが進まないのは,仕事後に部下と飲みに行くというカルチャーが衰退するなか,それを決定づけることになりそうなテレワーク化に心理的抵抗を感じる昭和世代のおじさんがまだ多いからかもしれませんね。
 ところで先日は,アサヒ芸能にも登場しました。やはり拙著の紹介記事です。掲載日がわかっていたので,コンビニで立ち読みしようとしたのですが,ページをめくっていると,女性のヌード写真や風俗関係の記事,芸能人のゴシップなどが次々と出てきて,これは学生に誤解されてはまずいと思い,あわてて退散しました(あとから編集者から該当ページのPDFが送られてきました)。私の紹介記事自体は良いものでしたが,このブログの読者の方で見た方はほとんどいなかったでしょうね。

« 最低賃金の引上げについて考える | トップページ | ポピュリズムと労働政策 »

私の作品」カテゴリの記事