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2019年4月 6日 (土)

サイボウズ青野社長との対談

 文藝春秋社のサイトで,私の『会社員が消える』(文春新書)の刊行にあわせた企画として,サイボウズの青野慶久社長との対談がアップされています(https://books.bunshun.jp/articles/-/4706)。現在,青野社長は,ご存じのように,婚姻時の選択的夫婦別姓制をめぐって裁判を起こしています(青野社長の主張は,https://note.mu/yoshiaono/n/n34c1a9b3d596 を参照)。ちょうどその判決が出る前の多忙な時期に1時間だけ割いていただいて実現した対談でした。裁判では負けてしまいましたが,青野社長はまだまだ戦うつもりのようです。青野社長の主張は賛同者が多いと思うのですが,裁判を通して実現するとなると,その道のりは大変そうです。国会議員のなかから,どれだけ賛同者を集めることができるかがポイントでしょうね。難しいのは,現時点では,青野社長は民法レベルでの夫婦別姓までは求めず,戸籍法レベルでの別姓の実現を主張するにとどまっているところです。民法改正を求めている論者からは生ぬるいと批判を受けているのです。青野社長は,民法改正を求めていたら,いつまで経っても実現しないので,無理がなく,コストも低く,そして青野社長のいま抱えている問題も解消できる(旧姓を使っていることに法的根拠を得られる)戸籍法改正というところから,まず攻めていこうとする戦略なのです。
 裁判には政策形成訴訟というのがあるので,こういう戦い方もあるでしょう。こうした訴訟(国家賠償訴訟)で原告が勝つのは難しいでしょうが,青野社長は,勝訴するかどうかより,世論が喚起されることを狙っているのだと思います。もっとも世論喚起ということならば,民法改正で攻めたほうがよいのでは,という気がしないわけではありませんが。経営者とのマインドとしては,最初から負け戦はしたくないということなのかもしれませんね。
 さて私との対談の方に戻りますと,実は対談前は,拙著に対して,法律家ごときが偉そうなことを言うなと,お叱りを受けるかと思っていたのですが,全くそうではなく,すっかり意気投合してしまいました。結局,サイボウズ自身が,個人が自立的に働くというスタイルをとっており,会社員のようだけれど,会社員ではない,組織のようだけど,組織ではない,という会社だからなのだと思います。会社は,各人の幸福追求の場を提供しているのだという,青野社長のスタイルが,成功する会社経営のこれからのモデルなのです。拙著で説いた水平的ネットワークは,サイボウズでは,会社レベルですでに実現しているのでしょう。
 今回は,バリバリ活躍されている第一線の経営者との対談ということで,私にとってとても刺激となりました。青野社長には心より感謝しますし,今後もその活躍を見守っていきたいと思います。

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