« 濱口桂一郎『日本の労働法政策』 | トップページ | 不適切動画投稿問題について思う »

2019年2月11日 (月)

山川隆一・渡辺弘編著『労働関係訴訟Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ』

  山川隆一・渡辺弘編著『労働関係訴訟Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ』(青林書院)を,山川先生から,いただきました。いつもどうもありがとうございます。裁判官を中心とした実務家が,労働法の主要テーマを一つずつ,掘り下げて検討し,自分なりの分析結果を書いたものを集めたものです。ずいぶん古い文献もあり,すでに私の頭では切り捨ててしまっていたようなものも参照されていて,たいへん勉強になりました((当時の?)進歩的な学者として,後藤清先生が登場しているのには驚きましたが)。裁判官の手によって,古き良き文献が掘り起こされたような気分です。私自身,ここのところ,ちょっと未来志向に走りすぎていたので,原点に戻れと諭されているような気分にもなりました。
 本書で採り上げられている各テーマは,冒頭に設問があり,それに答えるという形になっています。各テーマの書きぶりは個人に任せられているようであり,それぞれ個性があって良いと思いました。裁判例も豊富にとりこまれており,文献も豊富で,内容も手堅いので,研究者の半端なものを活用するよりは,こちらのほうが,演習書として活用するのにも適切ではないかと思いました。
 最近,私は,いかにしたら労働紛争が裁判沙汰になることを減らすことができるか,ということに関心をもっていて,判決よりも和解だという気持ちが強いのです(Pactum legem uincit et amor iudicium:合意は法律に,和解は判決に勝る)が,それはそれとしても,しっかり労働法を勉強している裁判官がいるというのは,心強いことです(もちろん裁判官も,和解をしっかりやってくれているのでしょうが)。

« 濱口桂一郎『日本の労働法政策』 | トップページ | 不適切動画投稿問題について思う »

法律」カテゴリの記事