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2019年2月14日 (木)

会社員が消える

 新作が文春新書から出ます。『会社員が消える-働き方の未来図』です。メインタイトルはちょっと激しい文言ですが,新書で出す以上,この程度のものはありだと割り切っています(10年以上前に新潮新書から出した『どこまでやったらクビになるか』よりはマイルドでしょう)。内容は,昨年,労働新聞で連載した「雇用社会の未来予想図」をベースにしたもので,構成は大きく変え,また加筆もかなりしました。編集者からの最初のオファーは,労働時間関係のものだったのですが,それよりもこちらのほうが面白いのではないかと逆提案して,このテーマになりました。その結果,労働新聞で連載したものから大きく生まれ変わりました。編集者との二人三脚で,気持ちよく書き進めることができました。とくに本のなかでは謝辞を書いていませんが,この場を借りて,編集者の稲田さんには厚くお礼を申し上げます。

 コンセプトは,技術革新により,産業が変わり,企業も変わり,そして働き方も変わる,というものです。そして,新しい働き方に対応するうえで必要なのは,個人が自ら自分のキャリアを切り拓いていく力であり,政府は個人の自助を支えるために必要なサポートをしていかなければならない,というものです。これは,第一読者である稲田さんに向けたメッセージでもありました。決して未来が明るいとはいえないであろう出版業界の若き編集者に警鐘を鳴らし,問題意識をもってもらい,でもこういうようにやっていけば大丈夫だよという道筋も提示し,そして最後に自分の力が大切だよという発破もかけた,というところです。稲田さんに続く読者の皆さんが,どう受けとめてくれるかわかりませんが,共感するにせよ,反感をもつにせよ,それがどういうものであれ,自分のこれからのキャリアのことを真剣に考える一つの材料としてもらえれば,著者としてはそれで十分,執筆の目的は果たせたことになります。

 読者対象は,法律のことを何も知らない方を想定しているので,法律の話はほとんどでてきません。当初は条文名なども書いていて細々としたこだわりもしていたのですが,途中で書き直しているうちに,そうしたものをバッサリ切って(一部は解説で書いています),とにかく法律を何も知らないが,これからの働き方のことを考えたいと思っている人に,考える材料を提供するということを第一に考えました。読者として専門家の視線がちらつくと,どうしても些末な議論に入ってしまうのですが,そういうものは振り払いました。その点では,これまで書いた新書よりも徹底したものです(本文では引用した文献のみ挙げていて,専門書ではないので,巻末の参考文献などはつけていません。とはいえ,本書が多くの先人の知見の上に乗っかっていることは言うまでもありません)。

 ということで,本書は,弘文堂から2年前に出した『AI時代の働き方と法-2035年の労働法を考える』の一般の方向けバージョンです。あのときよりも,フリーの個人自営業者によりフォーカスをあてています。いま思えば20173月にフリーの研究元年と呼びかけたのですが,助走期間を経て,今年は本格的に研究展開のステップにしようと思っています。

 今月はジュリストにも「雇われない働き方」というエッセイが掲載されます(当初は論文を書こうと思ったのですが,執筆時期の私の脳がエッセイ風のものにしか対応できませんでした。同時にいろいろな執筆スタイルに切り替える力が,残念ながら弱ってきています。ただ,ジュリストなので,実務家の方に,問題意識をもってもらうためには,エッセイも悪くないと考えました)。またNIRAでもプロジェクトを開始しており,近いうちにキックオフ・ペーパーを発表し,今後はより具体的な政策提言にコミットしていくつもりです。

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