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2019年2月23日 (土)

日経新聞は労働時間のことを書かない方がよいのでは?

 スルーしようかなとも思いましたが,あまりにもヒドイ記事なので,購読者として批判させてもらいます

 222日の日本経済新聞の朝刊の「働き方進化論」という連載で「1部 突き抜ける職場(5) がむしゃらは許せるか」という記事が出ていました。読んでいたら,最後の締めが次のようになっていました。

 「4月から日本でも「脱時間給制度」が始まる。働き方改革の目玉の一つだが、米国の例を踏まえて要件を厳しくしたため、労使から評価が難しいとの声が上がり、あまり使われないとみる専門家もいる。

 労働基準法は賃金を働いた時間に応じて支払うよう定めている。戦前の工場法の流れをくみ、労働時間に比例して仕事の成果が出るという考え方に立つ。創造性や付加価値が求められる今、成果は必ずしも時間に比例しない。時間と切り離した新たな働き方の解への模索は続く。」

 例のごとく「脱時間給制度」という言葉を使っています。この記事では,アメリカのことを扱っていたので,「ホワイトカラー・エグゼンプション」という言葉が出てきましたが,括弧をつけて「脱時間給制度」としています。意地でも「高度プロフェッショナル制度」という役所も他のメディアでも使っている言葉を使いません。これは,自分たちで決めたことは何が何でも変えないという組織の論理で,読者のことを考えていないものです。日本の役所の問題点などが,日本経済新聞にもあるということです。こういう組織目線の新聞の書いたものを信用できないのは,役所の言うことが信用できないのと同じです。

 その証拠に,「労働基準法は賃金を働いた時間に応じて支払うよう定めている。戦前の工場法の流れをくみ、労働時間に比例して仕事の成果が出るという考え方に立つ。」という目を疑いたくなるようなデタラメを書いています。労働基準法のどこに,そのようなことが書かれているのでしょうか。条文をみたことがあるのでしょうか。割増賃金の部分の話と本体の基本給の話を混同しているのは,何度も指摘したので繰り返しません。
 労働基準法は,「労働時間に比例して仕事の成果が出る」という考え方に立っているというのは,私は初めて聞きました。これを善意に解釈して,割増賃金のことだけを言ったとのだとしても,間違っています。割増賃金は長時間労働の補償として支払われているのです。それによって時間外労働が抑制させるという企業に対するペナルティ機能もあります。もし割増賃金のことを言うなら法定労働時間を超えて働かせた場合,労働時間に比例して労働者の疲労が高まるので,法定の割増賃金として,労働者に対する補償を企業に義務づけた,とでも書いてくれれば,まだ納得できました。

 これって,法律家の細かい指摘だというレベルではありません。根本がわかっていないということなのです。カネをとれるプロの仕事ではありません。しっかり勉強してから書いてください。

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