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2019年2月 3日 (日)

ミステリーを3冊

 ネタバレもあるので,要注意。
 高野和明『13階段』(講談社新書)。前にこの著者の『ジェノサイド』を読んで,第1期のブログで紹介したこともありました。死刑執行直前の男を冤罪から救おうとしているのが,過去に人を殺した経験のある刑務官と傷害致死罪で有罪となり仮釈放になっている二人の男。途中で真犯人がわかりそうでわからないスリリングな展開で一気に読めてしまいます。ここには,善良な保護司もいれば,悪徳保護司も出てくるし,さらに死刑を求刑したが再審請求に向けて尽力してくれる検察官,無責任な弁護士,無能な法務大臣,ことなかれ主義の高級官僚などが次々と登場し,同時に前科者と家族,親族を殺された犠牲者の家族の悲哀も描かれ,正義とはなにか,死刑とはなにかを問いかける社会派ミステリーでもあります。
 東野圭吾『回廊亭殺人事件』(光文社文庫)。かなり前の作品ですが,まだ読んだことがありませんでした。多大な資産を残して亡くなった経営者,一ヶ原高顕の遺言が公開される回廊亭という旅館に集まってきた親族たち。その宿には,数年前にも同じように親族が集まっていたのですが,その夜に火事があり,高顕の秘書である枝梨子と付き合っていた里中二郎が死亡し,枝梨子も首を絞められ,大火傷を負います。実は,枝梨子は,子がいない高顕から,かつて付き合っていた女性が産んだ自分の子を探して欲しいという仕事を頼まれており,そうして見つかったのが里中二郎だったのです。回廊亭で,親族に里中二郎が紹介されるはずでしたが,その前夜に火事で彼が死んでしまったのです。枝梨子は,真犯人を見つけるために,高顕の知人である老婆に変装して回廊亭に乗り込みます。遺産が里中二郎に行ってしまうことをおそれた親族による放火殺人ではないかと彼女は考えています。候補者は数人いたのですが,実は真相はまったく異なっていました。悲しい女性の物語ともいえます。
 島田荘司『占星術殺人事件』(講談社文庫)。さらに前の作品です。設定は,昭和初期の二・二六事件のあった日。殺人予告とも思われる,怪しげな手記どおりに,その執筆者の親族の女性6人が,身体のそれぞれ別の部位が切り取られるという猟奇的な連続殺人事件が起こりました。犯人は,手記を書いた男となりそうですが,その男は,連続殺人事件が起こる前に殺されていました。しかも密室殺人でした。しかも,その間にもう一人,別の親族の女性も殺されていました。犯人は誰か。トリックは予想もつかないものでした。著者の読者への挑戦です。あなたは,この謎が解けるでしょうか。私は,主人公の御手洗さんが教えてくれるまでは,さっぱりわかりませんでした。

 

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